~~
日英両政府が2月3日、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)をテレビ会議形式で開き、「自由で開かれたインド太平洋」実現に向け、安全保障などの分野で協力を強化することで一致した。
日本側は、英国が新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中核とする空母打撃群を、年内に東アジアなどへ派遣することを歓迎した。自衛隊と英軍の共同訓練実施へ調整を進めることになった。
日英が安保協力を進めるのは、中国が軍事力を増強して、東・南シナ海などで覇権主義的動きを強めているからだ。英国は先進7カ国(G7)の一員で優れた海軍を持ち、国際社会で発言力がある。その英国が、インド太平洋地域の平和への関与(コミットメント)を掲げて、対中抑止の輪に加わろうとしている点を評価したい。
香港の旧宗主国である英国は、香港の「一国二制度」破壊や民主派弾圧で、対中不信感を強めている。共産党支配の中国が地域で覇権を握れば国際秩序そのものが傷つくと懸念している。
ウォレス英国防相は、空母群派遣について「英国の能力を示し、さらに防衛協力を深めたい」と語った。4、5月頃に英本国を出航する見通しで、オランダ海軍艦船の同行計画がある。フランス、ドイツも5月以降、海軍艦船を極東まで派遣する。
英海軍の寄港に日本は最大限の便宜を図るべきだ。自衛隊は東・南シナ海やインド洋などで英空母群と合同訓練を重ね、それを内外に発信してほしい。
日英共通の同盟国である米国や、対中国を念頭に日米と安保協力を深めているオーストラリア、インドの海空軍が合同訓練に加わる機会があればなおよい。
日米豪印4カ国の枠組み(クアッド)と英国との協力推進の好機である。英国のクアッド参加も検討に値する。
広範な分野で日英協力を進めることは日本の国益と世界の平和にかなう。英国は1日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。
英国は第5世代(5G)通信網では、中国の華為技術(ファーウェイ)を排除し、日本のNECなどを基地局の実証実験に加えた。日英2プラス2後の共同声明は、5G通信網の分野での協力をうたった。中国のデジタル覇権阻止も重要課題である。
◇
2021年2月5日付産経新聞【主張】を転載しています